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小豆島:木桶職人復活プロジェクト

本物の醤油を知ろう、語り継ごう

発酵調味料 醤油

 

麹を使った発酵調味料を広げようと活動をしていると、日本人が伝統の発酵調味料である醤油が麹から出来ている事を意外にも知らないという事に気が付き始めました。

 

醤油は醤油として生活の中に溶け込んでいて醤油が何で出来ているかなんて考えた事が無い人が多いのかもしれません。そういう私もフランス在住の頃は恥ずかしながら醤油の原料に小麦粉が入っているとは知らなく、大豆の加工調味料との認識しかありませんでした。

 

 

醤油の原料は:大豆、小麦、塩と水だけです。伝統製法では麹菌で発酵させた大豆と小麦が原料の【醤油麹】をまず加工した後に塩水に漬け1年半ほど仕込みます。麹菌により大豆と小麦の分解が始まり、蔵や醤油が仕込まれる木桶についている乳酸菌や酵母菌が交互に現れ、発酵・熟成をすすませます。醤油の酸味と旨味と甘さが混ざり合った複雑な奥行のある味は幾重にも繰り広げられる発酵によるものなのです。

 

反対に言うと、醤油を選ぶときに原料を見てこれ以外のものが書いてある場合は味を調える為(もしくは発酵を止める為にという事もありますが)に添加がされたものとなります。添加物が入った調味料も嗜好品としてたまには良いですが、やはり日本人としては本物の醤油はどういうものだと理解はしておきたいものです。

 

再仕込醤油って知っていますか?

発酵調味料 麹 醤油木桶による手作りの醤油なんて気が遠くなるほど長い工程なのですが、香川県小豆島にあるヤマロク醤油の主要商品である【鶴醤(つるびしお)】は1年半かけて仕込んだ生醤油にさらに醤油麹を仕込みます。初めの1年半は地下水で仕込み、残りの半分は生醤油で仕込むといったさらに気が遠くなるプロセスで出来た醤油を【再仕込醤油】と呼びますが、名から分かるように二倍の原料と歳月をかけてようやく出来る醤油なのです。今東京のこだわり調味料ショップのあちらこちらでこの鶴醤が見られるようになりましたが、この145mlで500円の醤油、ストーリーを聞くと安すぎると思いませんか?

 

手作りの木桶を作り⇒職人が3年かけて醤油を醸造し⇒瓶に入れて⇒小豆島からの物流を介し⇒売場のマージンが乗って500円で全国に食卓に届いてしまう醤油。

 

 

この本物の醤油を昔ながらの製法で、(そしておそらく昔ながらの価格帯で)文化・品質・味・誇りを守り続けるヤマロク醤油さん率いるプロジェクト。サポーターが増えていくのも全く不思議ではありません。

 

まさに消費者の為に、そして守りたい文化や地域の為にヤマロクさんが身を削って作ってくださっているお醤油と言えますね。そんな姿を思い浮かべ、毎回ありがたいなぁと思って口にするようになりました。

 

小豆島で作られる木桶の醤油について

前置きが随分長くなってしまいましたが、いよいよ本題。

 

小豆島ではいまだにこの伝統を守り醸造家が協力をしあい、醤油づくりが盛んです。日本全国に2800の木桶があるうちの3分の1がこの島に集まっているいうだけあります。一つの桶は、150年程醤油づくりに使われます

 

しかし木桶で作られる醤油が少なくなってきてしまった事からその木桶をつくる職人ももう日本から消えつつあり、唯一の職人も今年で引退とか。今使っているほとんどの木桶は戦前に作ったというのですから私たちの孫の孫の世代になるころには昔話になってしまっていて、自然な発酵調味料を口にする機会はもうなくなってしまうのでしょうか。江戸時代から醤油の他にも味噌や酒を醸してきた木桶は効率化による工業化や和食離れだけが原因で廃ってきているわけではありません。同じ発酵プロフェッショナルでご一緒したお味噌やさんの女将の話によると時代が変わるにつれ規制も変わり、地域によっては保健所からの指摘で泣く泣く手放すことになる場合もあるようです。そんな木桶は解体され薪として焼かれて処分されたそうです。

 

それに危機感を感じ、職人がいなくなるのであれば自分で作ろうと立ち上がったのがヤマロク醤油の5代目、山本康夫さんです。醤油屋さんなのに木桶から作っちゃうなんてあるのでしょうか。楽器を作る演奏家も包丁を作る料理家もそうそうはいないでしょう。一冬に作れる木桶は数個。そしてそれは金額にすると2~300万円程するようですので相当な投資です。でも今やり続けて技を伝承していかないと50年後にはこのお醤油は存在しなくなるのです。

 

木桶で作った醤油は現在では醤油市場の1%としか出回っていません。でもこのプロジェクトが始まり、日本中、そして海外の方にも賛同され仲間が増え、盛り上げ伝えることによって2%にも3%にもしていきたい、そんな思いを込めて木桶職人復活プロジェクトのイベントは1月に毎年行われているようです。

 

 

現場の雰囲気のレポート♪

さてさて、その木桶職人復活プロジェクトですが、私も以前から興味津々でしたがついに今年日本発酵文化協会の皆さんと現場をのぞかせて貰いに行くことが叶いました。

 

羽田~高松は飛行機で。高松からはフェリーで一時間ほどで小豆島につきます。

 

寒い中結構皆さん薄着で声を掛け合って楽しそうに作業が進んでいます。こんな活気のある雰囲気の中できた木桶には元気な微生物が沢山やってくるに違いないですね。

 

 

木桶の底板を現場にいあわせた同志が参加型で打ち付けています。

これで三二石、(約六〇〇〇リットル)となります。

 

 

 

 

木桶を固定するタガも手作りです、編むのはとても難しい!

 

 

 

 

  

完成した木桶に水をはり、隙間を木の膨張で埋めます。

 

 

 

   

木桶が完成!現場にいた参加者皆で筆入れ     私はこちらです。麹の神様ありがとう!

 

 

 

こちらは蔵見学です。

 

   

 

蔵紹介の中で山本さんが言っていました。【蔵に入ってすぐ左の木桶は150年目のエース。何故なら入ってすぐ皆に注目され、話題にも上がるから一番美味しい醤油が出来る。】そしてそれは数値にも出ているようです。そして【木桶の上から仕込み中の醤油を除く女性客が多いときは微生物も元気にぼこぼこ動く、唯一静かだったときは男性ばかりの訪問客だった】と面白いエピソードも。醤油づくりには乳酸菌・酵母菌が交互に入ってきて複雑な酸味や旨味が繰り広げる味を醸し出します。蔵付きの菌、木桶つきの菌、それらをまるで一緒に住むペットのように大事に、住みやすい環境をひたすら作り、気持ちよく働いてもらうのが醸造家の仕事なのだと理解が出来ます。

 

(事前に読んでいった【職人醤油】代表 高橋万太郎さん執筆の【にっぽん醤油蔵めぐり】で書かれていたことが生で聞けて感動、笑 ⇒ちなみにこの本を読むと醤油の特長や作り手の想いが伝わり、醤油の見方が変わり違いを味わうことが楽しくなるのでお勧めです。)

 

そんな作り手の心が籠った環境で育った菌から出来たお醤油なら美味しいだけでなく、体に入れた時も善玉菌を増やしてくれるに違いないと思いませんか?

 

私はお料理用の醤油以外で、火を通さなく口にする醤油はこれからは木桶仕込みの天然醸造醤油だけにする!と心に誓いました。

 

パリの高級日本食材店に鶴醤がおいてあるという話でしたので、いつか又向こうで済むことがあって切らしてしまっても大丈夫です!

 

今年は、業界やサポーターが(そして菌たちが)集まり初めて開催された木桶サミットまでは残れなかったものの、現地でこの熱いひと時を過ごせたことが嬉しく、発酵を愛する一人として一歩前進できたような気になりました。

 

この経験を「あー、楽しかった!」で終わらせず、大事な文化を残すために自分だから出来る事、こんな形で書き留めることを含めて少ーしずつでも形にして行きたいと思います。

 

(そしてとりあえず、手っ取り早く主人、娘たち、家族、友達、同僚には刷り込みは完了です、笑。)

 

 

 

 

 

 

 

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麹を使った日本の伝統発酵調味料を洋食文化に広げたい思いで【Atelier de Koji(アトリエ ドゥ コウジ)】が生まれました。発酵マイスター・プロフェッショナル・上級麹士の資格を持つオーナーが、無添加でうまみのある調味料を洋食に使えるようアレンジをし甘酒ケチャップをはじめ様々にご提案致します。ワークショップやポップアップなども不定期で行っております。

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